

「CINE VIS CINEMA」 8ミリ・16ミリフィルム映画祭が、4年の時を経て戻って参りました。
久しぶりの開催にもかかわらず、今回も多くの作品をご応募いただきました。
また、今回は告知が不十分かと心配されましたが、当日は多くの方々に足をお運びいただくことができました。関係者一同、心より御礼申し上げます。
|

入選作は全4作品。
『Camera Dream』(武田有希子作品)は、小箱の中で起きている童話のような感じの作品。
『斑点』(真次賢作品)は、シナリオがよく練られており、エンディングまで目が離せません。
『断頭台』(光風作品)は、独特な世界観と妖艶かつ迫力ある演技が、見る者を圧倒します。
『旅人の視る夢』(石垣友子作品)は、1ショット1ショットが美しくて印象深く、絵画を見ているよう。
入選された方々には、賞状とコダック株式会社よりスーパー8フィルム10本が贈られました。
|
|

武田有希子さん

『斑点』 |

野村友佳子さん

渡邉俊朗さん |
|
奨励賞は全3作品。
『朝の音』(野村友佳子作品)は、少女がオトナになるときのとまどいを飾らずに描いた作品。
『僕達はくり返していく』(菊地夢高作品)は、在宅看護、母子家庭(正確にはおばあちゃんと孫)という社会問題を縦軸に、おばあちゃんの初恋を絡めた力作。
『アコガレノコエ』(渡邉俊朗作品)は、恋する女子高生の妄想の世界と現実の世界をうまくクロスオーバーさせた秀作。
奨励賞には、賞状とコダック株式会社よりスーパー8フィルム20本が贈られました。
|

『僕達はくり返していく』 |
特別賞は、『こくもの灰』(吉田弥生作品)。
「国家喪失」をモチーフに、権力による強制や暴走を寓話的に描き、再生への願いが込められた本作品は、その力強さ、独創性、そして美しさが選考委員に高く評価され、今回、特別賞として選出されました。
|
|

『こくもの灰』 |

松岡良樹さん |
|
CINE VIS CINEMA 2005 KODAK AWARD 準グランプリは、
『イン・ジャパン』(松岡良樹作品)。
難民問題という、日本人にはなじみの薄いテーマを敢えて選択し、綿密に取材を重ねたその姿勢が、まずは評価されました。その上で、アフガニスタン人の青年に日本の受験生が徐々に心を許していくさまに素直に感情移入できる演出の巧みさが、深い感銘を呼びました。
松岡さんには、賞状と副賞としてコダック株式会社より賞金5万円が贈られました。
|
そして、CINE VIS CINEMA 2005 KODAK AWARD グランプリは、『あまい果実のかおり』(橘由美子作品)に決定いたしました。橘さんには、賞状と副賞としてコダック株式会社より楯および賞金10万円が贈られました。
わずか7分の作品ながら、丁寧に描かれたアニメーションや、「その後」を知りたくなるようなシナリオなど、完成度が非常に高いと評価され、見事グランプリに選出されました。雲がゆったりと動くシーンが大変印象的でしたが、本人も雲の動きを表現するのに大変苦労されたそうです。橘さんは現在、大学を卒業して、アニメ制作会社に就職しています。将来、橘さんの名前がアニメのクレジットに載る日がくることを、関係者一同、心から楽しみにしております。もちろん、橘さん自身の次回作にも期待しております。
|
|

橘由美子さん |

|
| TOP↑ |

★ Bプログラム 2009年9月21日(月) 16:00~
Bプログラムは、山田勇男さん、山崎幹夫さん、寺嶋真里さんの3名の映像作家による特集上映を行いました。(山田勇男作品『青き零年』、山崎幹夫作品『VMの夢想』『富士山へ飛ぶ夢を見るまで』、寺嶋真里作品『天使の赤い臍』、以上4作品を上映。)
|
作品上映後は、お三方にご登場いただき、山崎さん司会のもと、ミニトークショーを行いました。三者三様、制作方法はまちまちですが、偶然を作品にうまく取り入れる柔軟さと発想力、そして瞬発力が、作品の魅力を引き立たせる重要なスパイスだと感じたのは、私だけではないと思います。また、フィルムの魅力やこだわりについても熱く語ってくださり、その思いは若い映像作家の心に響いたのではないでしょうか。
|
 |
| 左から 山崎幹夫さん、山田勇男さん、寺嶋真里さん |
|
| TOP↑ |

★ Cプログラム 2009年9月21日(月) 19:00~
Cプログラムは、8ミリ・1カードリッジ部門の上映と観客賞発表・授賞式を行いました。
8ミリフィルム1本だけを使い、フィルムの切断・接合編集の禁止というルールのもとで制作された、今年度エントリーの14作品と前回受賞の4作品、計18作品を上映いたしました。また、今年度エントリー作品の中から当日お越しいただいた観客の皆様に気に入った作品を投票していただき、多くの票を集めた上位5作品に対し、観客賞を授与いたしました。副賞は8ミリにちなんで、コダック株式会社よりスーパー8フィルム8本が贈られました。1カードリッジと言っても、応募作品はバラエティに富んでおり、選考に際しては観客の皆様も大いに悩んでいた様子でした。
そして、観客による投票の結果、『下北沢で会いましょう』(出射広海作品)、『路地提灯』(大西健児作品)、『チョコレートの箱の中』(鹿田楓作品)、『Visitor』(磯部真也作品)そして『talk離す僕を遠く』(鈴木余位作品)の5作品が観客賞として選出されました。
|
 |
 |
 |
 |
 |
| 左から 出射広海さん、大西健児さん、鹿田楓さん、磯部真也さん、鈴木余位さん |
シネヴィスシネマでは、次回以降も同じルールで8ミリ・1カードリッジ部門を継続していきたいと思っております。今回制作に間に合わなかった方も、奮ってご参加いただけますと幸いです。
→ 受賞結果一覧
|
|
| TOP↑ |

★ Dプログラム 2009年9月22日(火) 13:00~
2日目は、2009年度ショートフィルム部門の上映と授賞式を行いました。
今年度の応募作品は全17作品。アニメーションはありませんでしたが、ドラマに実験映像にミュージッククリップに日記映画と、いずれも個性豊かな力作が揃いました。
また作家さんも、初めてカメラを握る十代の学生から、熟練の方々まで、幅広くご参加いただきました。
|
まずはDプログラムから。
『これから』(川本直人作品)は、勢いと繊細さの二律背反を感じさせる作品。撮影中に機材が壊れてしまったというハプニングも、うまく作品に取り入れています。本作品は川本さんのデビュー作。今後の制作活動が楽しみです。
『紫陽花』(野村友佳子作品)は、紫陽花の狂い咲きが胸に迫るホラー作品。着物の女性が闇夜で見せる不気味な微笑みは、きれいな顔立ちをしているだけに鳥肌ものです。野村さんは『朝の音』でCINE
VIS CINEMA 2005 奨励賞を受賞しているだけあって、シナリオの組み立てや演出が巧みです。
『アーナーパーナサティ』(矢川健吾作品)は、映像と文章でつづった自己内面のキャッチボール。矢川さんが映像を撮影した上で、友人の佐藤さんに文章を委ねるというスタイルで制作されたこの作品は、お互いをリスペクトしているからこそ成立する技法です。
|
|

川本直人さん

矢川健吾さん |

古賀朋子さん

TEAM GATERA
|
|
『ホットドックパーティー』(古賀朋子作品)は、はちゃめちゃな世界観がギリギリのところで均衡を保っている作品。破綻しそうでしないという緊張感が、笑いの中にもスリルを感じさせてくれます。観客の心のひだまで計算し尽くした演出に拍手です。
『つき・よみ』(TEAM GATERA作品)は、とことんまで細部の美しさ、グロテスクさにこだわった秀作。16ミリフィルムで撮影されたその映像は深淵で、映像にのめり込むことに恐怖すら覚えます。TEAM
GATERAのヤジマチサト士さんは、『ワイルドホーシーズ』で2004年度に奨励賞を受賞しております。本作品は、シネヴィスシネマに応募することを目標に制作されたとのことでした。しばらく映画祭をお休みしてしまい、スミマセンでした。
『バラ色フリーウェイ』(古市勝久作品)は、とにかく理屈抜きで楽しめる作品です。登場する3人の男たちも魅力的。完成度が高く、オチもピリリと利いていて、今回最も会場の笑い声が多かった作品ではないでしょうか。
|
|
| TOP↑ |

『349』(安中悠華作品)は、木々の間から見え隠れする木漏れ日と男性の裸体の対比が際だっている作品。対象物は違えど、どちらも美しく神秘的な被写体として映像に収まっています。タイトルの「349」は、撮影中に何気なく見た時計が示していた時刻なんだとか。作品もタイトルも大変ユニークです。
『夜の太陽』(大谷高美作品)は、都会の風景をコマ撮りで撮影し、ネガ現像で光を押し殺すことで、闇の怖さと神秘を映像に凝縮することに成功した作品。自分のイメージする映像を捉えるまで、ねばり強くファインダーを覗き続けたであろう映像には、大谷さんのこだわりが感じられます。
『お葬式』(出射広海作品)は、40年前に撮影された葬式の映像と、現在の監督の日常をクロスオーバーさせた作品。人の死がつながって今があることにさりげなく気付かせてくれる良作です。テーマはお葬式ですが、米屋で働く出射さんとちょっと耳の遠いお客さんとのユーモラスなやりとりなど、随所にゆるさを演出しており、心にすっと入ってくる作品に仕上がっていたのではないでしょうか。
|
|

右 安中悠華さん

『抜け殻から出たものの』 |

西牟田聡さん

『夕波』 |
|
『抜け殻から出たものの』(安間大作品)は、強烈なインパクトを持つキャラクター達が底抜けにまぬけな世界を作り上げているのが可笑しすぎる作品。但し、その可笑しさも監督さんの確かな技量があったからこそ。作品構成の巧みさやキャラクターを生かし切る演出技法は、他の作家さんも学ぶところが多いと思います。
『腹へり侍』(西牟田聡作品)は、役者の演技と憎いほどの演出の妙がさえ渡っている作品。台詞を一切排除して、演技と演出のみで笑いを誘うのは、大変難しいことです。その苦労を感じさせず、安心して作品に没頭できるのは、やはりスタッフの方々の努力のたまものなのだと思います。西牟田さんは、意外にもこの作品が自主監督デビューだとか。次回作も楽しみです。
『夕波』(仙元浩平作品)は、帰省した青年が、地元の友人達や家族との交流の中で、自分を見つめ直していく、優しさあふれた作品。自然に囲まれた田舎町で繰り広げられる人間模様は、郷愁すら感じさせます。監督の仙元さんは、意外にも(失礼!)アラフォー世代。いつまでもみずみずしい作品を私たちに見せていただきたいものです。
|
|
| TOP↑ |

『過日』(タケヒロ雄太作品)は、幻想的な色彩と音声に引き込まれていく作品。さまざまな映像がフラッシュバックしていくような展開は、浮かんでは消える自分の記憶を映像化しているようです。タケヒロ雄太さんにとって、カメラは好奇心を捉える「眼」のようなものだそうです。タケヒロさんの「眼」に、これからどんな映像が吸い寄せられるのか、とても期待しています。
『Strata』(虎岩彩作品)は、どこか異国を思わせる情景の中、初老の紳士がスケッチをしているのは、その風景なのか、それとも自分の中からあふれ出る「イマジン」なのでしょうか。この作品は、虎岩さんが感じた未来の音やイメージをフィルム化したそうです。出演しているのはお父様だとか。いい表情をしているのは、撮る側、撮られる側の信頼関係がなせる技なのでしょう。
『贈 -send-』(酒井洋一作品)は、時に反発しあい、また時に酒を酌み交わす親子の様子を、新緑に包まれた田舎風景の中で優しく描いた作品です。酒井さんは、前作の『real easel』に続き、今回もミュージックビデオでの参加でした。ミュージックビデオを敢えてフィルムで撮影するのは大変なご苦労をされていると思います。
|
|

『過日』

『Strata』 |

大西健児さん

『僕のカッパドキア』 |
|
『VIDA』(大西健児作品)は、「エロス×暴力」というどす黒い塊を投げつけられたかのような衝撃作品。全面に施されたフィルムへの傷や、敢えて聞き取りにくくしている音声は、見るものを拒んでいるかのようであり、それがまた見る側に負のイマジネーションを誘発しています。
『僕のカッパドキア』(内村茂太作品)は、一言で言えば「日記風映画」ですが、このおもしろさ、間抜けさは、一度見ていただかないと伝わりません。真似できそうでできない内村ワールドは、今回も健在です。内村さんは、今回で4回目の参加です。内村作品を見るためにシネヴィスシネマに足を運んでくださる方もいらっしゃると聞きます。今後も、内村ワールドを我々に提供し続けていただければと思います。
|
Fプログラムでは最後に、今年度(2009年度)受賞作品の発表と表彰式が行われました。
入選は、『つき・よみ』、『腹へり侍』、『VIDA』の3作品。
☆入選者には賞状と、副賞としてコダック株式会社よりスーパー8フィルム・10本が贈呈されました。
奨励賞は、『夕波』、『アーナーパーナサティ』の2作品。
☆受賞者には賞状と、副賞としてコダック株式会社よりスーパー8フィルム・20本が贈呈されました。
CINE VIS CINEMA 2009 KODAK AWARD 準グランプリは、古市勝久監督作品『バラ色フリーウェイ』。
☆準グランプリには賞状と、副賞としてコダック株式会社よりフィルム・3万円相当分が贈呈されました。
そして、CINE VIS CINEMA 2009 KODAK AWARD グランプリに輝いたのは、Fプログラム最後に上映された、内村茂太さんの『僕のカッパドキア』となりました。
☆グランプリには賞状と楯、副賞としてコダック株式会社よりフィルム・10万円相当分が贈呈されました。
|
|

古市勝久さん

内村茂太さん |

総評を語る山崎幹夫さん |

コダック株式会社・久保添氏より副賞の贈呈 |
授賞式に先立ち、選考委員を務めた山崎さんからは、「受賞した作品が優れていて、受賞しなかった作品が優れていなかったと言うことは決してない」ということをおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。どの作品からも監督やキャスト、スタッフの熱い思いがひしひしと伝わってきた、珠玉の17作品でした。
→ 受賞結果一覧 |
|
| TOP↑ |

|
「CINE VIS CINEMA」は、2010年も開催の予定です。
2010年もまた多くの魅力溢れた作品に出会えることを、心から楽しみにしております。
最後に、参加してくださった作家の皆様、当日会場へ足を運んでいただいた観客の皆様、ボランティアとして裏で映画祭を支えてくださったスタッフの皆様、お忙しい中ご対応いただきました選考委員の皆様、そしてスポンサーの皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
|
| TOP↑ |